「判官! 今日は、伝えられている東岳大帝を訪ねるために、案内していただきたいのです。」
判官は言いました。「今の東岳大帝は、冥君閻王の統率下にある一人の閻王です。宋の時代より前には、東岳大帝は酆都大帝とも呼ばれ、冥府の最高統治者であり、今の冥君閻王の職に当たりました。しかし、今の東岳大帝は、冥君閻王の下にある十二殿の閻王の一人で、職位が変わっています。地獄が絶えず増築され、宋の時代以後は、その速さが以前を上回りました。さらに、現世の一九九五年からは、地獄の増築はいっそう速まり、今ではほとんど飽和状態になっています。現世で罪を犯す人が、あまりにも多いからです! 信仰を持つ人の中には、『陰律無情』を読んで、冥府でどうして地獄の増築や職位の交代などがあるのか、と感じる方がいることを、私は知っています。現世でも、公的な機関やそこに関わる人員は増えたり減ったりするでしょう。陰陽の二つの世界には、実は同じような道理があるのです。天界でさえ違いはありません。阿玉、ついてきてください!」
判官は言いました。「宋の時代の後、三百五十年目ごろから、人間界では、うやむやのまま終わり、無念が晴らされない大小さまざまな事件が増え続けるようになりました。そのような無念を抱えた霊は、冥府へ帰ると、すべて東岳大帝のもとへ訴え出なければなりませんでした。東岳大帝の裁きの大殿には多くの冤魂が集まり、大帝も非常に忙しくなりました。その後、冥府に、大きく広々とした冥君閻王府が増築され、それに伴って、酆都大帝も冥君閻王と名を変えたのです。新しい冥君閻王府は、冥君閻王の住まいと執務の場所を一つの屋敷にまとめたものです。そのほうが、冥君閻王にとって、冥府を管理するのにいっそう便利でした。阿玉、あなたが前に見学した冥府の最高の裁きの大殿は、その時期に増築されたものです。酆都大帝も冥君閻王府へ移り、住まいと執務の場にしました。70
現在の東岳大帝は、第一殿の秦広王から昇進した方です。第一殿の秦広王は、現世では正義を重んじる仁君であり、寿命を終えたとき、第一殿の閻王に任じられました。東岳大帝の仕事の内容は、冥君閻王のものとほぼ同じです。ただ、一部の霊体は、死んで地獄へ帰ると、どうしても最高の閻王に訴えたいと言います。そのような霊体は、基本的にすべて、冥君閻王の屋敷にある裁きの大殿へ案内され、冥君閻王自身の裁きを受けます。実は、これは人が現世で身につけた習性なのです。誰が冥府に来ても、冥府のどの閻王も公正で厳明です。すべての閻王は、陰律の法則と因果の定めに従って、さまざまな事案を扱います。親戚や友人の誰かに、少しでもえこひいきすることは決してありません。罪ある霊がどの罪を犯したかを見て、どの地獄に入るかを裁き、どのような冤情があるかに応じて、命を取り立てることを合法的に認める、相応の種類の冥府の令牌を発行するのです。」
この丸いアーチの橋を渡ると、その向こうにある役所が東岳大帝府です。官府らしい雰囲気が色濃く漂い、橋のあたりではすでに夜叉が絶えず行き来して見回っています。皆、判官を見ると礼をしました。判官に案内していただけば、自分であちこち道標を探す必要がなく、ずっと簡単で早く着きます。実は、私たちは地獄ではとても速く歩きます。人間界のように、一歩ずつ足を地面につけてゆっくり歩くのではありません。判官が速く歩くときには、私も足を速めなければなりません。私たちは心の力で歩き、足は地面についていないのです。地獄は本当に広すぎます。この道も以前には通ったことがありませんが、私は地獄の道を覚えたいとは思いません。地獄の衆生が一日も早く正法を聞いて修行し、一日も早く全員が上の境地へと救い上げられ、地獄の苦しみから離れることを願います。今、東岳大帝府が見えました。二枚の赤い大きな門扉の前には、大刀などの武器を手にした夜叉がまっすぐ立っています。夜叉は笑顔で判官に礼をすると、門を押し開け、私たちだけで中へ入らせてくれました。
中に入ると、別の鬼卒も笑顔で判官を迎え、小さな庭の回廊を通って、裁きの大殿へと案内してくれました。判官は、大帝府の夜叉たちと皆顔なじみのようです。この裁きの大殿は、冥君閻王のあの最高の裁きの大殿より、明らかにはるかに小さいものでした。ここはさらに古い時代のように感じられます。建物には昔風の赤い大きな鉄の扉があり、中の家具も装飾もすべて古風で趣があります。壁に掛かった絵も昔の人々の姿で、左右の壁の下には、昔の武器もいくつか並べて置かれています。入口の真正面には、『東岳大帝』の四文字を記した額が掛かっています。一人の閻王が座っておられますが、この方が東岳大帝なのでしょう。東岳大帝は閻王の装束をまとい、顔色は灰色で、頭には冠を戴き、目から黒い光を放っています。ああ! この方もまた、非常に厳めしく、少し恐ろしい顔立ちの閻王です。閻王の執務机にも、『東岳大帝』の四文字が記されています。
「平民の女、上官玉華、東岳大帝にひれ伏してご挨拶申し上げます!」
東岳大帝は言われました。「上官玉華、堅苦しい礼はよい。よく来られた! 何か尋ねたいことがあれば、遠慮なくそのまま話しなさい!」
阿玉:「はい、大帝閻王! 私めは、閻王にいくつかお尋ねしたいことがございます。
第一に、地獄はすでに飽和状態だと聞いております。もし現世の人々の邪淫がこのままはびこり続け、地獄が満員で、邪淫を犯しても振り分ける新しい地獄がないとすれば、寿命を終えても、しばらく地獄の刑罰を免れ、空きができてから刑罰を受けるということでしょうか。それとも、今地獄にいる衆生を早めに解放して、新たな罪ある霊が罰を受ける場所を空けるのでしょうか。