筆先には風月を詠む三千字、口もとには十万の兵を率いる氷霜の威厳。
天も、人の心に晴れぬ恨みがあると知っている。きっと、国を再興する務めを託すはずだ。
岳武穆の伝記を読んで――(元)潘音
万里に広がる浮雲が、見渡す景色を暗くする。千の山々に落日は沈み、あたりは深く暮れてゆく。
朝廷は、自ら国の再興への志をくじき、国境へ出陣した大将の思いは、むなしく費やされた。
臣たる者は、死に至るまで仇を討てなかった。奸邪な者たちが仕掛けた罠、そのたくらみはあまりにも深い。
ただ、精忠を記した伝記が、一つの文箱に残るだけ。涙をぬぐいながら繰り返し読み、思いを抑えられない。
『満江紅』――宋の思陵63が岳武穆に与えた親筆の勅書の拓本に題す(明)文征明
欠け残った碑をぬぐえば、岳飛に下した勅書の文字が、かすかながら読み取れる。
嘆かわしい。初めには、どれほど岳飛を頼りにしたことか。それなのに後には、何とむごく扱ったことか!